京都神社仏閣観光案内

古都京都は日本美術のミュージアム

龍源院の日差しが差し込む幻想的な東滴壺

京都の庭園(3)

京都の庭園を見に行こう

日本には四季があり、庭園は四季折々と趣を変え、移ろいを感じることができる。また天候によっても見せる表情が変わる。晴れならば光と庭園とのコントラスト、雨の日には苔の美しさや濡れた石がより一層模様を浮かび上がる。春には桜、新緑の季節には若葉が青々と茂り、ツツジや藤などの花との美しさ。梅雨の時期は苔の深みある美。夏にかけては蓮の花が咲き、秋には燃えるような赤もみじが彩を添える。冬には散った後のはかなさや雪景色。自然の中の美、いにしえの人々の感性、京都ならではの心安らぐ風景を楽しんでいただきたい。

高桐院の客殿南庭(楓の庭)と石灯篭

高桐院(大徳寺塔頭)楓の庭

心安らぐ京都の風景

1602年、千利休の弟子である武将・細川忠興(三斎)が、父である細川幽斎の菩提を弔うために創建。竹林と苔ともみじ、趣ある自然石の敷石が50m続く参道は、京都屈指の美しさで世界的に有名。高桐院はミシュラングリーンガイドに登録されている。

客殿の南庭は江戸時代初期の作庭で一面の苔に石灯籠が一つ。そして楓が絶妙なバランスで配置されており、通称「楓の庭」と呼ばれている。春から夏にかけては苔が一番映える季節であり、特に南庭は楓が多く、青々と茂る樹々と一面緑苔が織りなす情景は神秘的な雰囲気でもあり、また心安らぐ静けさを感じる。また秋には艶やかに色付いた楓と苔とのコントラストは多くの人を魅了する。一年を通し四季折々の移ろいを楽しめる趣ある名庭園。

石灯籠は千利休が秀吉による切腹前に細川忠興へ贈ったもので鎌倉期の春日灯籠。千利休愛蔵の天下一といわれた石灯篭である。豊臣秀吉が欲したが細川忠興自ら灯籠に傷を付け、傷を理由に断ったと伝わる。別名「欠灯篭」。南庭の石灯籠は模造であり、本物は西側にある。本物の春日灯籠は細川忠興と妻である細川ガラシャの墓塔となっており、忠興とガラシャ夫婦が埋葬されている。細川ガラシャは明智光秀の三女。ガラシャという名はキリスト教徒に改宗した際につけられた。

《新緑と紅葉が美しい参道の高桐院の詳しい記事はこちらから《京都市バス「大徳寺前」下車 徒歩すぐ》

龍源院の日差しが差し込み幻想的な東滴壺

龍源院(大徳寺塔頭)

歴史を刻む禅宗庭園

社殿裏の日本式庭園は約30000㎡という広大な池泉回遊式庭園で東、中、西、南の四つに分かれ東山を借景としている。社殿を取り囲むように四つの表情を楽しませてくれる。神苑には約250本の桜が植えられており桜の名所としても有名。境内がピンク色に染まる景色は圧巻。国の名勝に指定されており、七代目小川治兵衛が20年以上を掛け造園。明治期を代表する近代日本庭園である。国の名勝指定。

【南神苑】は孝明天皇百年祭として昭和44年に昭和の小堀遠州と言われる中根金作が作庭したエリアである。八重紅枝垂桜の名所として名高い。また「平安の苑」といわれ、竹取物語、古今和歌集、伊勢物語、枕草子、源氏物語などの平安時代の書物に登場する草木が植えられ、平安時代の庭園(入り組んだ細道の野筋と流れ込む小川の遣水)が再現されており、古の物語の雅な世界を味わうことが出来る。

【西神苑】の初夏の白虎池(びゃっこいけ)では花菖蒲(はなしょうぶ)は200品種2000株が咲き誇る。

【中神苑】の蒼龍池に掛かる臥龍橋(飛石)は豊臣秀吉によって造営された三条大橋と五条大橋の橋脚の石材を再利用している。飛石は小川治兵衛の特徴。円山公園や無鄰菴などでも小川治兵衛の特徴を見ることが出来る。

【東神苑】は東山を借景とし栖鳳池には京都御所から移築された尚美館(貴賓館)と泰平閣(橋殿)が宮廷文化の気品ある姿を池に映して佇む。泰平閣の近くには日本庭園伝統の鶴島と亀島を配しており、開放的で近代的な庭園と古から続く日本庭園の美の融合が多くの人を引き付ける。

南神苑の片隅には日本で最初の路面電車が展示されており見逃せない。日本で最初の電車が開業したのが京都である。

《長い歴史を持つ禅寺である龍源院の詳しい記事はこちらから《京都市バス「大徳寺前」下車 徒歩すぐ》

興臨院の方丈前庭園

興臨院枯山水庭園

桃山文化あふれる絢爛豪華な庭園

興臨院は大徳寺の塔頭。加賀百万石の祖・前田利家とゆかりが深く前田家の菩提寺。特別公開期間のみ参拝する事ができる。

方丈前庭園は1978年に中根金作が復元。中根金作は「昭和の小堀遠州」とも呼ばれ、京都では妙心寺退蔵院、妙心寺大心院、二条城清流園、常照寺などで中根金作の作庭を見ることができる。

方丈前の枯山水庭園は白砂(白川石)と苔と石組の蓮華形式の禅宗庭園の名庭園。桃山時代の豪胆な石組は天台山の石橋を模している。興臨院の方丈前庭園は大徳寺一とも評される。

《禅宗寺院の様式美が魅力の興臨院(大徳寺塔頭)の詳しい記事はこちらから《京都市バス「大徳寺前」下車 徒歩すぐ》

相国寺の方丈の裏方丈庭園

相国寺裏方丈庭園

南北朝時代を代表する禅宗庭園

相国寺は1392年、室町幕府3代目将軍足利義満によって創建。相国寺は京都五山第2位の由緒ある名刹。現在も広大な敷地を有し、金閣寺銀閣寺などの約100の塔頭を擁している大寺院。方丈と開山堂は天明の大火後の1807年に再建されたものである。

方丈の裏方丈庭園は江戸時代後期作庭。深山幽谷の急流を表現した枯山水庭園。深く堀が彫られており、一風変わった他ではあまり見られない高低差を利用した立体様式の庭園。深く掘られた堀によって実際のよりもより一層空間を大きく見せる演出が特徴的。京都市の名勝に指定。

堀の底には枯流れ、庭園西側には自然の造形を利用した築山と立石で滝を表現した滝石組、斜面のスギゴケ、そしてもみじなどが配置され深みある美しさ。見ごたえがあり市内の喧噪を忘れる名庭園。方丈庭園は春・秋の特別公開のみ拝観できる。

《五山文化の中心であった相国寺の詳しい記事はこちらから《京都市営地下鉄「今出川駅」から徒歩約5分》

平等院鳳凰堂と阿字池

平等院浄土式庭園

静かな庭園に刻まれた古の物語

1052年創建。平等院鳳凰堂の建築様式は独特のもので他で見ることはない。美しい木造建築である。もともとは阿弥陀堂と呼ばれていたが、江戸時代以降に鳳凰堂と呼ばれるようになったようだ。

中堂の中心に円形の小窓が設けており、阿字池の彼岸から阿弥陀如来のお顔を拝むことが出来き、池面に映る鳳凰堂と相まって極楽浄土を拝むことが出来る。浄土式庭園で創建当初の姿を留めている庭園は全国的にも数少なく貴重であり日本独自の庭園様式である。鳳凰堂の屋根に使われている瓦は、創建当初に作られた瓦も現在使用されており、歴史が受け継がれている。

鳳凰堂の前にある石灯篭は平等院型とよばれる。基礎の石は平安時代、笠と竿は鎌倉時代、宝珠と火袋は室町時代のもの。この灯篭は修繕を受けながら1000年という長きにわたり鳳凰堂を見守っている。

《浄土式庭園の代表格である平等院の詳しい記事はこちらから《JR奈良線宇治駅下車徒歩10分 京阪電鉄宇治線下車徒歩10分》

泉涌寺の御座所庭園

泉涌寺御座所庭園

苔が一面に広がる幻想的で彩鮮やかな庭園

平安時代に空海がこの地に草庵を結んだのが始まり。泉涌寺は日本で唯一「御寺」と呼ばれ皇室とのゆかりが深い。

御座所は京都御所からの移築で格式が高い。御座所庭園は紅葉も格別。庭園は明治期作庭であるが室町後期から江戸時代初期の伝統的な日本庭園による構成が素晴らしい。

質なデザインの雪見灯篭と鶴島と亀島の間の白砂、低く抑えられた緩やかな築山と池の周りにはモミジや松、サツキなどが植えられ新緑や紅葉に季節にはモミジが色付き、利休梅が白い花を添える。御所庭園の流れを見て取れ優美である。

雪見灯篭は孝明天皇の遺品で仙洞御所から移築された貴重なもの。この形のの灯篭を雪見灯篭を言う。御座所の縁の脇にある水鉢は元禄時代の青銅製で珍しい。現在も両陛下、皇族方が参拝の際には休憩所として使用されている。御座所の玉座の位置から庭園を眺めるというい貴重な経験ができる。

《全国で唯一皇室の菩提寺である泉涌寺の詳しい記事はこちらから《JR奈良線・京阪本線「東福寺駅」から総門まで徒歩10分 》

醍醐寺三宝院の庭園

醍醐寺三宝院庭園

100種類以上の花が四季折々に咲き誇る名庭園

醍醐寺は応仁の乱によって多くの宇堂が焼失。再興のきっかけになったのが豊臣秀吉によって行われた「醍醐の花見」である。

醍醐寺三宝院の表書院から庭園全体が見渡せ、桃山時代を代表する寝殿造は当時の面影を今に伝える池泉鑑賞式庭園。三宝院庭園は豊臣秀吉自ら設計・指揮をした庭園と知られ、東西に長く1450にもなる石によって組まれる庭園。桃山文化絶頂期の絢爛豪華さを感じ取ることが出来る。

亀島全体を覆う五葉松は「天下の銘木」と言われ、樹齢600年を超える。賀茂の三石は賀茂川の淀みを表現。各時代の天下人が愛した藤戸石は庭園の中心に据えられ、表書院から庭園を眺めると中央正面に見て取れる。この藤戸石は古くは平安時代まで遡れ、室町時代の細川管領邸から織田信長造営の二条第(二条城の前身)へ受け継ぎ、豊臣秀吉が関白公邸の聚楽第から移設した「天下の名石」として名高い。藤戸石は阿弥陀三尊を表している三尊石組。高さ1.8m、幅1.1m。両脇に小さな石を据える。

三段の滝は賢庭「天下の石組の名手」によるもの。池の南東隅にあり、小川治兵衛よる作庭「近代日本庭園の代表作」と言われる無鄰菴庭園の三段の滝のモデルである。醍醐寺三宝院庭園は国の特別史跡・特別名勝。

《豊臣秀吉とゆかりが深い醍醐寺の詳しい記事はこちらから《京都市営地下鉄東西線「醍醐駅」から徒歩約15分》

作庭家&庭園関連記事

醍醐寺三宝院の池泉回遊式庭園

京都・作庭家の魅力

時代を彩る名作庭家達

夢窓疎石による庭園は日本文化に革命をもたらし、以降数々の名作家達が魅力的な庭園を作庭してきた。そこには時代毎の文化や思想、普遍的な伝統、作庭家自身の思いや斬新的な手法を取り入れ、時には先鋭的に発展を遂げてきた。四季折々を楽しむ日本人の美意識と文化が庭園に長い歴史を刻み続けている…

続きを読む

青蓮院門跡の相阿弥の庭「龍心池」

京都の庭園(1)

京都の庭園を見に行こう

京都観光での神社仏閣巡りの楽しみ方は多種多様あるが、その中でも取り分け庭園巡りは人気が高いのではないだろうか。禅寺の枯山水庭園で自己を見つめ直したり、桃山時代作庭の豪胆な庭で当時の絢爛豪華な時代に思いを馳せたり。庭園を見ながら友人や恋人と語らう人、一人で静かに贅沢な時間を過ごす…

続きを読む

等持院の池泉回遊式庭園

京都の庭園(2)

京都の庭園を見に行こう

庭園には数多くの種類がある。平等院などを代表する平安貴族が憧れた極楽浄土の世界を現した浄土式庭園、天皇や貴族が大池に船を浮かべ花見や宴を楽しんだかつての神泉苑の船遊式庭園。鎌倉時代から江戸時代には南禅寺や龍安寺を始めとする禅の思想や精神世界を現した枯山水庭園、室町時代から江戸…

続きを読む

京都を訪れる人々へ

千年あまり都であった京都の歴史はとにかく深い。国宝や重要文化財などの寺院建築や美術品が数多く、これほど魅力ある街は他にない。ここには1200年もの長きにわたる歴史や文化が凝縮されている。誰もが知っている観光寺院でも一度ならず二度三度と尋ねて頂きたい。毎回新たな発見と感動を、そして心安らぐ京都の情景を楽しんでいただきたい。

私達について

私達が訪れたことのある京都の主な神社仏閣や観光名所、近代建築などを紹介しています。京都にはまだまだ多数の名刹・古刹などがあり、私自身もまだまだ訪れていない神社仏閣が数多く、これからも精力的に訪れたいと思っております。より多くの皆様に神社仏閣、または古都京都という都市そのものに興味をもっていただき、京都観光の架け橋になれば幸いです。

私達の使命

シンプルで分かりやすいウェブサイトを製作することを第一の使命とし、皆様へ良質な情報を提供、より一層知識を深める事ができるコンテンツを展開することを第二の使命として活動しています。

サイトについて

記載している内容の中には学術的に間違っている場合、また違う見解などがあると思いますがご了承ください。また本ホームページの記事、写真、イラスト等の転載及び引用は固くお断り致します。